映画や小説ではよくある“血を飲む”シーン。でも現実世界で他人の血を口にしたら、一体どうなってしまうのか。ホラーな想像が膨らむけど、実はちゃんと医学的に解明されているんです。
今回は「なぜヤバいのか」「どんなリスクがあるのか」など、好奇心はあるけど実践はNGな“血の話”をやさしく&真面目にお届けします。
飲んでも吸収されない?血を飲んだとき体の中で起こること
まず前提として、「血=栄養たっぷりで元気出そう」と思ってるそこのあなた、ちょっとストップ!実は血を飲んでも、栄養としてはほとんど吸収されません。
というのも、血液に含まれる鉄分(ヘモグロビン)は、胃酸では分解しにくい構造。さらにたんぱく質や細胞の大部分は、消化されずに分解されて終わりなんです。つまり、飲んだからといって「血のパワーを取り込んだ!」なんてことにはならないという悲しい真実。
しかも問題はそこじゃない。血を飲む行為で一番リスキーなのは——
- 病原体(ウイルス・細菌)への感染
- アレルギー反応や中毒症状のリスク
特に他人の血には、肝炎ウイルス、HIV、梅毒などが潜んでいる可能性があり、口の中に小さな傷があるだけでも感染経路になり得ます。これは冗談抜きで、命にかかわるリスク。
どれくらい飲んだら危険?“血の摂取量”と体への影響
では、「ほんの少しなら飲んでも平気なの?」という疑問。たしかにドラマや古典的な儀式シーンでは、ちょろっと口に含む程度の描写もありますが、現実はそう甘くありません。
まず少量(ティースプーン1杯=5mlほど)なら、健康な人なら消化管で分解されて“何事もなかった風”に通過することもあります。でも、そこに口内炎や歯茎の出血など、わずかな粘膜の傷があれば感染リスクは急上昇。ほんの一滴でも、ウイルスにとっては“十分すぎる量”なんです。
そして問題はある程度の量(50〜100ml以上)を飲んでしまった場合。ここで起こりうるのが…
- 鉄過剰による中毒症状(吐き気・嘔吐・下痢)
- 消化不良や胃のむかつき、場合によっては血を吐くことも(※黒っぽい便が出たら要注意)
しかも血は“ドロドロ”なので、消化に負担がかかるうえ、胃が「異物が来た!」とパニックを起こす可能性も。
結論:少量でも安全とは言えず、大量なら確実にアウト。
輸血はOK、でも飲むのはNG。その違い、ズバリ解説!
「ちょっと待って。他人の血って危険なんでしょ?じゃあ、輸血はなぜOKなの?」
ごもっともな疑問です。でもここには、明確な“ルートの違い”があるんです。
輸血は、厳密に検査された血液を“静脈内”に直接注入します。つまり、体の防御システム(消化・免疫)をバイパスして、必要な成分だけを医療的に届けるという、かなり精密で安全な処理がされてるんです。
一方、“飲む”という行為は、消化管(口→胃→腸)というデコボコで汚れやすいルートを通るため、そこにウイルスや細菌が混じっていたら、感染のリスクは跳ね上がります。しかも飲んだ血は、輸血のようにダイレクトに体を助けるわけではなく、ただの“胃に負担をかける鉄とたんぱくの塊”にすぎません。
つまり、輸血=医療のプロがコントロールした栄養補給に対して、血を飲む=リスクしかない人体実験なんですね。
まとめ
「他人の血を飲んだらどうなるの?」というちょっとゾワッとする疑問、実はしっかり医学的リスクがある行為でした。たとえ少量でも感染症や中毒の危険があり、体にメリットはほぼゼロ。輸血と違って、飲んでも有効成分は吸収されず、むしろ消化器にダメージを与える可能性大。
映画や物語の世界ではロマンかもしれませんが、現実世界では絶対におすすめできない行動です。血は飲むものではなく、体の中でこそ活躍する命のエネルギーなのです!
住民の声