iACITYの心臓部であるルミリアの街は、朝から賑わいに満ちていた。色とりどりの屋台が並び、商人たちの掛け声と子どもたちの笑い声が通りを彩っている。
そんな喧騒の中をひときわ軽やかな足取りで歩く女性がいた。
ジャーナリストのアイリスである。
ふいに風が通り抜け、一枚の紙片が空に舞い上がる。白い紙片はゆるやかに弧を描き、アイリスの足元へと吸い寄せられるように落ちていく。
「ん?」
足を止めたアイリスはしゃがみこんで紙を拾い上げた。彼女の指先に渡されたのは、誓騎士団の紋章が刻まれた一枚の依頼書だった。
「誓騎士団の依頼書だ」
“解毒薬の納品”と記された太字の文言が彼女の目を引いた。
「解毒薬、求む」
さらにその下。
依頼内容を確認するアイリスの表情が一瞬で驚きへと変わる。
「1個、20ラヴ……!?」
思わず声を張り上げ紙を握り締めると、アイリスの口元に少女の笑みが浮かんだ。
「お宝み〜っけ♡」
心の高鳴りを隠せぬまま、彼女は依頼書を手に、街角の小さなポーション屋へと駆け出した。
メインストリートの賑やかな通りを抜けた先に、木造りの小さなポーション屋がひっそりと佇んでいる。軒先には草花が飾られ、白いカーテンがやさしく風に揺れていた。
市民の声