🎙 いま気になる話題は…《第六館》の新記録!

99通目の通知

怪異

これは、去年の秋頃に俺が実際に体験した話です。
信じるかどうかは任せますが、今でもスマホの通知が増えると不安になります。

俺は都内のIT企業で働いていて、リモートワークが中心。
だから日中でもSlack、メール、LINE、ニュースアプリ、何かしらの通知がずっと鳴ってるんですよね。
ただその日だけ、やけに静かだった。

たしか祝日明けの火曜日で、周りもスロースタートって感じ。
なんとなく通知の数が気になって、昼休みにスマホの通知履歴をさかのぼってみたんです。
そしたら、ふとあることに気づいた。

「今、98通だ」

日付をまたいでだけど、昨日の夜からの通知をカウントすると、ちょうど98通目。
べつにそれ自体は変なことじゃないんだけど、
なぜかそのとき、妙に気持ち悪かったんですよね。

で、午後に入って、ちょうど仕事で使ってるツールから1件通知が来た。
「お、99通目か」と思った瞬間、
まったく見覚えのないアプリから通知が来たんです。

名前は英数字のランダムな文字列みたいなやつで、アイコンも真っ黒。
通知の内容は、
『おかえり。今度はうまくやってね』
……意味がわからなかった。

通知をタップしたら、画面が真っ暗になって、すぐにホーム画面に戻った。
不具合かと思って設定を見ても、そのアプリはどこにも入ってない。
履歴にも残ってない。

で、その日の夜、変なことに気づいたんです。

・いつも玄関に置いてある傘立てが、逆向きに置かれてる
・歯ブラシが俺のじゃない(持ち手が左利き用)
・寝室の壁に、俺が貼った覚えのないポスター

極めつけは、リビングに飾ってる家族写真。
父さんの顔が、なぜか笑ってない。
…っていうか、これまでずっと笑ってたはずなんですよ。
口元が明らかに違う。こんな真顔だったっけ?

でも、母に電話して確認したら、「いつもこんな写真だったでしょ?」って。
昔のSNS投稿をさかのぼってみても、全部その“笑ってない顔”に差し替わってる。

それ以来、俺は通知の数を常に気にするようになった。
99通目が来る前に、必ず機内モードにする。
それだけは、絶対に守ってる。

…あの通知が何だったのか、
「今度はうまくやってね」って、どういう意味だったのかは、今も分からない。
ただ一つ、確かなことがある。

今の“この世界”は、俺がいた場所とは少し違う気がする。

  • URLをコピーしました!

住民の声

コメントする

目次