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バーコードの仕組みとは?一意性の理由とQRコードとの違いも解説

バーコードの仕組み

商品に付いている白と黒の縞模様──

それが「バーコード」です。レジでピッと音が鳴るたびに瞬時に商品情報が読み取られ、価格や在庫の管理がスムーズに行われています。しかし、なぜあの縞模様だけで正確な情報が読み取れるのでしょうか?また、世の中に同じバーコードが存在することはないのでしょうか?

この記事では、バーコードの基本的な仕組みから、同一のバーコードが生まれない理由までをわかりやすく解説します。

目次

バーコードとは何か?

バーコードとは、線(バー)と空白(スペース)を組み合わせて数字や文字などの情報を表現する識別コードの一種です。主に物流、販売、在庫管理などの分野で使われており、機械による迅速かつ正確な読み取りを可能にします。

バーコードは一見するとただの模様のように見えますが、実際には「1」や「0」といった2進数の情報が組み込まれており、それを専用のスキャナーが読み取ることで、商品コードや製品番号などがデータとして取得されます。

日本のスーパーなどでよく目にする「JANコード(Japanese Article Number)」も、バーコードの一種です。これは13桁の数字から構成され、国コード、メーカーコード、商品アイテムコード、チェックデジットといった要素に分かれています。このような規格に基づくことで、世界中の製品を一貫して管理することが可能になります。

バーコードの仕組み:黒と白の縞模様に隠された情報

バーコードの基本的な仕組みは、線(バー)の太さや間隔を使って数値や文字情報を表現することにあります。スキャナーがバーコードを読み取る際には、バーの「光の反射率」に基づいて情報を判別しています。黒いバーは光を吸収し、白いスペースは反射するため、その反射パターンの違いによって「0」と「1」のデジタル信号に変換され、コンピューターに伝達されます。

多くのバーコードでは、開始コードや終了コード、チェックデジットといった特定のパターンが含まれています。たとえばJANコードでは、最初の数ビットが「スタートコード」としてバーコードの始まりを示し、最後に「チェックデジット」という計算結果を含めることで、読み取りミスやデータの誤りを検出できる仕組みになっています。

また、バーコードは一方向に情報を持つ「一次元コード」であり、基本的に横方向にのみ情報を格納します。これに対し、縦横に情報を格納できる「二次元コード(QRコードなど)」とは構造が異なります。

バーコードの種類と用途の違い

バーコードには複数の種類があり、それぞれ用途や表現できる情報量に違いがあります。主なバーコードの種類には以下のようなものがあります。

  • JANコード(EANコード):日本を含む国際的な標準コードで、主に商品販売に使用されます。13桁(または8桁)の数字で構成され、一般消費財の商品に広く使われています。
  • UPCコード:アメリカやカナダで主流のバーコードで、JANコードとほぼ同じ仕組みですが12桁で構成されています。
  • Code 39:英数字(A〜Z、0〜9)を扱えるバーコードで、工業製品や部品管理によく使われます。文字数制限が少なく、比較的自由な表現が可能です。
  • Code 128:ASCII全体(英数字・記号)を扱える高密度なバーコードで、物流業界での配送伝票や在庫管理に利用されます。
  • ITF(Interleaved 2 of 5):数字のみを扱うバーコードで、段ボールケースなどに印刷されることが多いです。粗い印刷にも強い特徴があります。

それぞれのバーコードは、使用目的や印刷環境、読み取り精度などに応じて最適なものが選ばれています。たとえば、店舗での商品管理にはJANコードが一般的ですが、製造現場や物流倉庫ではCode 128のような情報量の多いバーコードが適しています。

用途に応じてバーコードの種類を正しく選ぶことは、業務の効率化や正確なデータ処理に直結する重要なポイントです。

バーコードの一意性:同じものは存在するのか?

バーコードには「一意性」が求められます。つまり、同じコードが異なる商品に付与されることは基本的にあってはなりません。特にJANコードのような流通コードでは、各製品ごとに固有の番号が割り当てられ、同一のバーコードが複数の商品に使われることがないよう厳格に管理されています。

この一意性を保証するため、JANコードは国単位で管理されており、日本では「GS1 Japan(一般財団法人 流通システム開発センター)」が運用を担っています。メーカーや事業者はGS1に登録し、企業コードを取得したうえで、各商品に対して独自のアイテムコードを付けてバーコードを生成します。

ただし、自己管理型のバーコード(Code 39やCode 128など)では、企業内部でのみ使用されるケースが多いため、一意性の確保は各企業の運用に委ねられています。この場合でも、誤ったデータ管理を避けるために、社内ルールに基づいた厳密なコード設計が必要です。

また、例外的に同じJANコードが異なる商品に使われているケースもありますが、それは古い商品が廃番となり再利用された、またはルールを無視した誤運用である可能性が高く、流通上の混乱を招く原因になります。

つまり、正しく運用されている限り、バーコードは各商品に固有であり、同じコードが複数の商品に使われることは基本的にないというのが原則です。

なぜ同じバーコードが複数存在してはいけないのか?

バーコードにおいて同じコードが複数の商品に使われることは、物流や販売の現場で重大な混乱を招く原因になります。最も大きな問題は、誤った商品情報の読み取りによって、正確な在庫管理や売上管理ができなくなることです。

たとえば、異なる商品に同一のバーコードが付けられていると、POSシステムはそれらを同一商品として扱ってしまいます。その結果、価格表示のミス、売上集計の誤差、在庫数の不整合、さらには誤出荷や返品トラブルにつながる可能性があります。

また、消費者にとっても誤ったバーコードによる価格の表示ミスは信用問題となります。例えば、高額商品に安価な商品のバーコードが貼られていた場合、意図しない価格で販売されてしまうリスクが生じます。逆もまた然りで、不当に高い価格が登録されていれば、顧客満足度の低下やクレームの原因にもなります。

企業内部で管理されるバーコードであっても、製造ラインや物流現場での誤読や取り違いが発生すると、生産効率の低下や品質管理の破綻を引き起こします。これが医療や食品など安全性が重視される業界であれば、さらに深刻な問題に発展する可能性もあるのです。

したがって、バーコードの一意性を確保し、同じコードが複数存在しないよう厳密に管理することは、業務の信頼性と安全性を保つうえで不可欠なのです。

バーコードとQRコードの違い

バーコードとQRコードは、どちらも情報を視覚的に表現し、機械で読み取るための手段ですが、その構造や特性には大きな違いがあります。

まず、バーコードは一次元(1D)コードと呼ばれ、横方向の線の太さや間隔で情報を表現します。主に数字や短い文字列の識別に適しており、JANコードのように商品管理や流通の現場で広く利用されています。しかし、記録できる情報量には限界があり、多くても20~30文字程度が限界です。

一方で、QRコードは二次元(2D)コードの代表格で、縦横のマトリクス構造を使って情報を格納します。これにより、バーコードと比較して格段に多くの情報を記録でき、最大で数千文字のデータも可能です。URL、メールアドレス、テキスト、位置情報など、多様なデータ形式に対応しており、スマートフォンの普及とともに一般利用が急増しました。

また、QRコードには誤り訂正機能が搭載されており、コードの一部が汚れていたり破損していた場合でも、一定範囲であれば正確な読み取りが可能です。バーコードにもチェックデジットによる誤読検出はありますが、修復機能はありません。

バーコードが読めないときの原因と対策

バーコードがスキャナーで正しく読み取れない場合、その原因は主に物理的な損傷、印刷品質の不備、スキャナー側の問題などが考えられます。以下に代表的な原因とその対策を紹介します。

  1. 印刷不良や汚れ
    • バーコードの線がにじんでいたり、かすれていたりすると、スキャナーが正確に情報を読み取れません。また、汚れやシールの折れなども読み取りを妨げます。
      対策:印刷品質を確認し、バーコード部分を清潔に保ち、シールの貼付面も平らであることを確認します。
  2. 光の反射や環境条件
    • 光沢のある表面や透明フィルム越しのバーコードは、スキャナーのレーザーが正しく反射せず、読み取りエラーが発生することがあります。
      対策:マットな素材に印刷する、または適切な角度で読み取るよう調整することで改善できます。
  3. スキャナーの故障や設定ミス
    • スキャナー自体の故障や読み取り範囲外での使用、設定が対応していないバーコード種別だった場合にも読み取れません。
      対策:スキャナーの動作確認と設定の見直しを行い、対象バーコードに対応したモードを使用してください。
  4. バーコードのサイズが極端に小さいまたは大きすぎる
    • スキャナーによっては読み取り可能なバーコードのサイズに制限があります。小さすぎると解像度が足りず、大きすぎると読み取り範囲からはみ出してしまいます。
      対策:適正なサイズでバーコードを印刷し、スキャナーの仕様に合わせたレイアウトを心がけます。

このように、バーコードが読み取れない原因はさまざまですが、多くは印刷・環境・機器いずれかに起因しています。適切な対策を講じることで、スムーズな運用を保つことが可能です。

まとめ:バーコードの仕組みと唯一性を正しく理解しよう

バーコードは、単なる白黒の模様ではなく、精密に設計された情報の記号です。光の反射を利用して情報を読み取り、商品管理や在庫管理、物流などさまざまな分野で不可欠な役割を果たしています。種類ごとに用途が分かれており、それぞれの現場で最適なバーコードが活用されています。

なかでも重要なのが「一意性」の確保です。同じバーコードが複数の商品に使用されることは、業務上の混乱や信頼性の低下につながるため、厳格に管理されています。バーコードの正しい利用は、正確なデータ処理と効率的なオペレーションの基盤です。

また、バーコードが読み取れない場合には、印刷や環境、機器の問題を冷静に見極め、適切な対処を行うことでトラブルを未然に防ぐことができます。

バーコードの仕組みとその運用の意義を理解することは、現代のビジネスや日常生活の円滑な運営を支えるうえで、見過ごせない知識といえるでしょう。

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