普段なんとなく「FMラジオ」「AMラジオ」と聞いているけれど、実際に何がどう違うのかは意外と知られていないかもしれません。音質?届く範囲?それとも内容?
今回は、ラジオ放送の基本であるFMとAMの仕組みの違いと、それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。
AMとFMの違い
ラジオ放送には「AM」と「FM」という2つの方式がありますが、これは音を電波にのせて届ける仕組み(=変調方式)の違いを意味しています。
AMは「Amplitude Modulation(振幅変調)」、FMは「Frequency Modulation(周波数変調)」の略です。AMは音声の情報を電波の強さ(振幅)にのせて伝えるのに対し、FMは音の情報を電波の速さ(周波数)にのせるのが特徴です。この変調の違いが、そのまま放送の特徴に影響します。
AM(Amplitude Modulation)とは
たとえばAM放送は、地表に沿って電波が進む「地表波」に加え、夜間には大気の層に反射して遠くまで届く「空電波」も利用できるため、非常に広い範囲をカバーできます。
山間部や建物の陰などにも届きやすく、全国ネットのニュースやトーク番組、災害情報の発信に適しています。ただし、電波の強さを使って音を伝える方式なので、雑音に弱く、音質はFMに比べるとやや劣ります。
FM(Frequency Modulation)とは
一方、FM放送は、周波数の変化で音を伝えるため、電気的なノイズの影響を受けにくく、雑音が少なくてクリアな音質が特徴です。
音楽番組との相性がよく、ステレオ放送にも対応しているため、都市部ではFM局が音楽やカルチャーを中心とした番組を数多く届けています。ただし、FMの電波はまっすぐ進む性質があるため、ビルや山などの障害物に遮られると届きにくくなり、放送エリアもAMに比べて狭くなります。
周波数の違い
AMとFMでは使用される周波数帯も異なります。AMはおよそ530〜1600kHz(キロヘルツ)、FMは76〜95MHz(メガヘルツ)と、FMのほうが高い周波数帯を使っています。この違いは、音質や伝播距離、対応機器の設計などにも関わってきます。
ちなみに近年では、AM局の一部が「ワイドFM」と呼ばれるサービスを通じて、FMの周波数帯でAM放送の内容を届ける動きも進んでいます。これにより、災害時や都市部のビル街でも、AMの内容をよりクリアな音質で聴けるようになりつつあります。
まとめ:AMは範囲、FMは音質に強い
FMとAMの違いは、音を電波にのせる仕組み=変調方式にあります。FMは音質が良く、音楽向き。AMは広範囲に届きやすく、情報伝達に強みがあります。
どちらにも特徴があり、用途に応じて使い分けられてきました。ラジオを聴くとき、ちょっとその違いを意識してみると面白いかもしれません。
住民の声